相続税対策

不動産オーナーの相続税対策

生前贈与と不動産の有効活用により、相続税の負担を軽減した事例です

事例概要

都心部を中心に複数の賃貸物件を所有する不動産オーナーC氏(当時71歳)は、将来の相続に備えて早めの対策を検討していました。当事務所では、C氏の資産状況を詳細に分析し、計画的な生前贈与と不動産の有効活用を組み合わせた相続税対策を提案・実行。結果として、相続税の推定負担額を約45%削減することに成功しました。

45%
相続税負担削減率
8棟
所有不動産
5年
対策実施期間
不動産オーナーの相続税対策イメージ

クライアントの課題

C氏は、30年以上かけて都心部を中心に8棟の賃貸物件(マンション・アパート・事務所ビル)を取得。総資産額は約15億円(不動産評価額約12億円、金融資産約3億円)に達していました。法定相続人は配偶者と2人の子供で、以下のような課題を抱えていました。

  • 相続税の試算額が約4億円と高額で、現預金だけでは納税資金が不足する恐れがあった
  • 相続発生時に物件の一部売却が必要になる可能性があり、安定収入源の喪失が懸念されていた
  • 子どもたちに不動産管理のノウハウが十分になく、相続後の資産管理に不安があった
  • 築年数の古い物件があり、将来的な収益性の低下が予想されていた
  • 家族間で相続に関する話し合いが十分に行われておらず、将来的なトラブルの可能性があった

「不動産を売却せずに相続税を納付できるよう対策したい」「子どもたちに少しずつ資産管理を任せていきたい」というC氏の希望を踏まえて、早期からの対策を開始しました。

当事務所のアプローチ

当事務所では、C氏の資産状況と家族構成を詳細に分析した上で、5年間の中長期計画を立案。以下の3つの柱を中心とした相続税対策プランを提案・実行しました。

1

計画的な生前贈与の実施

暦年贈与制度と相続時精算課税制度を活用し、子供や孫への計画的な資産移転を実施。また、教育資金の一括贈与非課税制度を活用して孫への教育資金贈与も行いました。

2

不動産の有効活用と組み替え

築年数の古い物件の建て替えや、収益性の低い物件の売却・買い替えを実施。また、小規模宅地等の特例適用を視野に入れた資産配分計画を立案しました。

3

相続・事業承継の体制整備

不動産管理会社の設立と一部物件の法人化、子供たちを巻き込んだ資産管理体制の構築、遺言書の作成と家族会議の定期開催による円滑な相続準備を進めました。

実施した主な対策

1. 計画的な生前贈与の実施

  • 暦年贈与制度を活用し、C氏夫婦から子供2人と孫4人に対して、毎年110万円ずつの現金贈与を5年間継続
  • 相続時精算課税制度を利用し、子供2人に対してそれぞれ2,500万円の贈与を実施
  • 教育資金の一括贈与非課税制度を活用し、孫4人に対してそれぞれ1,000万円(計4,000万円)を贈与
  • 金融資産の組み替えにより、生命保険金の非課税枠を最大限活用

2. 不動産の有効活用と組み替え

  • 築40年の賃貸マンション1棟を建て替え、収益性と資産価値を向上
  • 収益性の低下していた郊外の賃貸アパート2棟を売却し、都心の一棟マンションに買い替え
  • 自宅兼事務所として使用していた物件について、小規模宅地等の特例適用を想定した活用計画策定
  • 事務所ビル1棟について、1階部分をテナント利用から自社利用に変更し、事業用資産としての評価減を実現

3. 相続・事業承継の体制整備

  • 不動産管理会社を設立し、C氏と長男を役員に据えて、一部物件の賃貸管理業務を移管
  • 築浅の賃貸マンション2棟を不動産管理会社に現物出資し、自社株対策も併せて実施
  • 公正証書遺言の作成と家族会議の定期開催(年2回)により、家族間の合意形成を促進
  • 子供たちに対する不動産管理・相続税の知識習得のためのレクチャー実施(当事務所にて対応)

結果

これらの施策を5年間かけて実施した結果、当初約4億円と試算されていた相続税の負担額を約2.2億円まで削減(約45%減)することができました。具体的には以下のような成果が得られました:

  • 生前贈与による課税財産の圧縮:約1.2億円の資産移転(暦年贈与約0.7億円、相続時精算課税約0.5億円)
  • 教育資金贈与による非課税資産移転:0.4億円
  • 不動産の組み替えと有効活用による収益性向上:年間家賃収入が約15%増加
  • 小規模宅地等の特例適用による評価減:約2億円の課税価格圧縮
  • 事業用資産の評価減と自社株対策:約1.5億円の課税価格圧縮
  • 生命保険金の非課税枠活用:約0.5億円の非課税枠確保

また、税負担の軽減だけでなく、以下のような副次的な効果も得られました:

  • 不動産の収益性向上により、相続後も安定した収入源を確保
  • 子供たちが不動産管理に関わることで、スムーズな事業承継の基盤を構築
  • 家族会議を通じた合意形成により、相続トラブルのリスクを低減
  • 納税資金の確保により、相続発生時の不動産売却リスクを回避

私の最大の心配は、相続税を支払うために子どもたちが不動産を売却せざるを得なくなることでした。誠実税理士法人さんの提案で計画的に対策を進めたことで、大切な資産を守りながら相続税負担も大幅に減らすことができました。特に良かったのは、この過程で子どもたちが不動産管理について学び、少しずつ任せられるようになったことです。将来を見据えた対策をしてもらえて本当に感謝しています。

C氏(71歳)

不動産オーナー(賃貸物件8棟所有)

ポイント

この事例の最大のポイントは、「単なる相続税対策」ではなく、「資産の承継と発展」を視野に入れた総合的なアプローチを取った点にあります。以下のような観点が重要でした:

  • 相続税対策は早めに着手することで選択肢が広がる
  • 税金面だけでなく、資産価値の維持・向上も同時に考える
  • 次世代への知識・ノウハウの移転も重要な相続対策の一部
  • 家族間のコミュニケーションを促進し、円滑な承継環境を整える
  • 法改正なども見据えた中長期的な視点での計画立案

当事務所では、このようにクライアントの状況や希望を丁寧にヒアリングした上で、税務面だけでなく資産承継全体を見据えた最適なプランをご提案いたします。相続は「亡くなってから」ではなく「生前から」準備することで、大きな違いが生まれます。

あなたの大切な資産を次世代へ円滑に引き継ぎませんか?

当事務所では、お客様の資産状況や家族構成を詳細に分析した上で、最適な相続税対策プランをご提案いたします。「相続税が心配」「子どもに資産を引き継ぎたい」というご相談は、まずは無料相談から始めてみませんか?